辺境の雑記帳2nd

ニュースや時事問題の考察など

2017年堺市長選挙雑感と今後への備え

2017年9月24日投開票の堺市長選挙。維新陣営の膨大なデマ・中傷・暴力的行為・謀略をなんとか振り切り、広範な市民の共同で推した竹山修身市長の3選を果たすことができた。

マスコミなどでは「維新」対「反維新」という切り取られ方をされがちだったが、実態は「広範な市民の共同」と「嘘・独善・暴力的行為=維新」との対決だったように感じる。

[caption id="attachment_5886" align="aligncenter" width="600"]大仙古墳 堺市役所21階展望ロビーからみた大仙古墳(仁徳天皇陵)。堺市のシンボルのひとつでもあります。[/caption]

市民の共同でデマ攻撃を乗り越えた

維新のデマ攻撃は物量ともに執拗なものだった。デマの内容も相当ひどい。

堺市の財政の問題、水道料金の問題、泉北高速鉄道の問題、「竹山陣営は8年間の実績を語れずに中傷に終始している」という事実に反するデマ、維新でぐちゃぐちゃにされた大阪市が「成長」していると偽った上で堺市は停滞しているというデマ、「都構想」隠し――デマ・中傷の内容は多岐にわたった。

維新のデマと中傷は、2015年5月の大阪市廃止・解体の住民投票や、2015年11月の大阪W選挙での中傷と同じくらい、もしくはそれ以上にひどい状況だった。

陣営の宣伝や、口コミやネットでの広範な市民の活動を通じて、維新のデマを検証し打ち破る動きも多数生まれた。その一方で、ひとつのデマを打ち破っても、さらに維新は物量作戦に任せて、完全に否定された同じようなデマをしつこく蒸し返したり、また新たなデマを次から次へとまき散らしていく状況だった。

それどころか、非維新系の運動員への恫喝や威嚇など、暴力的な行為も報告された。

さらには、維新陣営が「暴力事件」「謀略ビラ」の被害を受けたとして、誰がやったか明らかでないのに、維新の最高幹部や議員などを先頭に「相手陣営のしわざ」と決めつけて被害者面して騒ぐ行為などの謀略もあった。

自分たちが相手にしてきた行為をそのまま主語だけ入れ替えて、自分たちがやられたかのように事実を正反対に描いてるのではないかとすら疑う。

正直、デマを打ち破る動きが追いついていないとも感じて、敗戦も覚悟していた。それだけに、デマを打ち破ったことは大きな意義がある。

デマ・中傷の常習者、維新

維新の選挙戦術はいつものことながら、「敵」と見なした相手を徹底的に中傷、そのためならデマも平気ででっちあげる。暴力的な行為や謀略行為も辞さない。

しかも、よそから全国的に集結し、この地域は劣った地域だから維新が変える、変えられるのは維新だけだというような、まるで救世主気取りの言い分を、物量作戦で市内のあちこちに大量に振りまく。

維新が掲げる「変える」方向は、どの地域でもめちゃくちゃ。これまで不十分な点はあったにしても、試行錯誤を重ねながらも住民の共同で少しずつ進めてきた取り組みを頭ごなしに全否定。行政やコミュニティの基本すら根本否定し、維新とそれに追随する一部の人間だけが利権を得ようとするようなもの。

これは、元々その地域で生まれ育った人や縁あって住んでいる人の地域愛・住民感情を無視したような言い草でもある。住民間の分断と対立・憎悪を煽る効果しかもたらさない。

維新は、それぞれの地域の歴史の中で育んできた文化への認識も敬意もない。文化・観光施策もむちゃくちゃ。地理認識もめちゃくちゃで、おかしな地図を資料として出したり、地名を平気で読み間違え続けても知らん顔。

さらには、自民党大阪府連や共産党を名指ししての誹謗中傷工作、他陣営への宣伝妨害。

2015年に大阪市で起きたことが、堺市でも起きた形になった。正直、2015年のことを思い出し、恐怖感を感じていた。

大阪市では2015年の住民投票では勝利したものの市長選挙では残念な結果になった。一方で、堺市では策動を打ち破ったことになる。

維新は、地域で積み上げてきたコミュニティや歴史・文化を壊し、ギスギスした分断と対立を持ち込むような、政策面以前のところで存在自体が有害であると言っても過言ではない。

ここから、そして、これから

竹山市長は選挙中、「かゆいところに手が届く行政。お互いがお互いを助け合える行政。メンバーシップを大事にする行政。私は会合衆の中のただ一人。皆さんが会合衆。皆さんの意見を参考にして決めていくボトムアップの政治を堺でやりたい」と訴えた(2017年9月18日、堺東駅前)。

堺市長選挙での勝利は、これまで地道に取り組んできた市民のための市政を、さらに進め発展させていく第一歩である。

その一方で得票状況をみれば、維新のデマや謀略が一定浸透しているともうかがわれる。

無党派層の支持の大半は竹山氏側に集まったものの、維新の組織票・固定票が大きなものになっている様子。

同時に投開票された府議補選(堺区)や、市議補選(南区)では、定数1で維新が当選している。出口調査でも、維新の支持率は20%台後半という数字が並び、第一党となっていた。

全国的には世論調査では維新支持率は1%台、大阪から離れるほどに泡沫扱いにはなっている。しかし、大阪で維新の勢力が衰えたと判断するのは早計であるということも示しているのではないか。

維新はここ数年間、ずっとデマや中傷を積み重ねてきた。堺市では4年後に向けて、さらなるデマや中傷を積み重ねると思われる。また大阪府議選挙・大阪市議選挙や大阪府知事選挙・大阪市長選挙も任期満了の場合は2019年にあり、さらには2度目の大阪市廃止解体の住民投票の可能性もある。大阪府政や大阪市政でも、「大阪都構想」に向けてデマとカムフラージュ、行政私物化、恫喝や暴力的行為を積み重ねていくとも思われる。

さしあたりは、2017年9月末の解散が予想され、解散の場合は10月にも投開票が見込まれる総選挙。ここでも再び下品なデマや謀略、対立陣営や一般有権者への恫喝・威嚇などの暴力的行為を繰り返す可能性が高い。

これまで維新は、選挙のたびに物量作戦でデマや謀略を繰り返してきたことから、今後の選挙や普段の政治活動ではなりふり構わず卑劣な行為をすることは、想像に難くない。

考え方や立場の違いはあっても、客観的事実の部分はねじ曲げることなく扱い、また異なる意見の持ち主同士でも率直な意見交換もしながらも互いに敬意を払い合える――維新はそういったプロセスを持ち合わせていない非常識・反民主主義的集団である。維新は左右の枠にはとどまらない「下」の集団である。

維新をつぶし、少なくとも社会的影響がほぼ皆無になるほどに支持率を大きく減らしていくことが必要になってくる。