辺境の雑記帳2nd

ニュースや時事問題の考察など

「都構想」日経・テレビ大阪世論調査(2020年6月)

日経新聞とテレビ大阪が2020年6月26~30日に実施した世論調査によると、大阪市の廃止・解体、いわゆる「大阪都構想」について、賛成が上回っているとする結果が出ている。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60945630Z20C20A6AC8000/

[caption id="attachment_9144" align="aligncenter" width="504"]日経調査 日経・テレビ大阪2020年6月「大阪都構想」の賛否(日経新聞2020年6月30日より)[/caption]

[caption id="attachment_9145" align="aligncenter" width="567"]日経調査 日経・テレビ大阪2020年6月「大阪都構想」の賛否理由(日経新聞2020年6月30日より)[/caption]

しかし2015年に指摘された問題点が、今回新たに持ち出されたもので解決しているわけではない。

「二重行政」などというのはそもそも存在しなかったもの。病院、学校、大学など、それぞれ得意分野などによる相互補完だったりするなど、必要があって設置されてきたもの。それを無理やり一つにまとめても、機動力が落ちるだけのことになっている。

今回の調査については、新型コロナウイルス問題で、吉村知事が「よくやっている」(やったふり)という印象操作を、マスコミなどを通じておこなっていることで出たような数字でもあるとみうけられる。

維新政治家の独断と思いつきで、現場に混乱と負担

しかし実際は、政治家の独断と思いつきで、現場に混乱と負担を招いているというのが実態である。

新型コロナウイルス問題では、実際には公衆衛生機関の府市統合と独法化で、逆に機動性が失われている。大阪市では「十三市民病院のコロナ専門病院化計画で、病院スタッフは寝耳に水、患者や出産予定の妊婦が次の受け入れ先がなくて困惑」「雨合羽問題」という状況も生まれた。

http://oskweb.wpblog.jp/post-9059/

さらには教育現場でも、吉村知事の思いつきで混乱を招いている。

デイリースポーツ2020年6月28日付『吉村知事に「現場を見に来て」…府下の現役教師が注文…新型コロナ下の混乱』では、現場教員の声が紹介されている。

吉村知事が「児童生徒に図書カードを配る」とぶち上げた。しかし配り方は現場任せ。休校中のもと、郵送でもいいが切手代は自分たちで工面しろといわれた。となると学校にそんな予算はなく、教師が家庭訪問して配り歩くしかない。しかも金券だからポストに投函して終わりというわけにもいかない。府教委は最初は「ゴールデンウィークの5月6日までに配れ」と指示し、それはいくら何でもと抗議して期限は撤回された。しかも府教委は「感染を避けるため、児童生徒と対面接触することは避けろ」と指示し、その後「安否確認のために対面してよい」と変わった。出歩くことで感染リスクを感じ、また保護者の側も訪問をあまり快く思わない場合もあった。――という、現場に混乱を招いただけの無茶振りが紹介されている。

さらに現場教員からは、コロナ対策での消毒を専門業者ではなく教師自身がおこない業務の負担感が増している問題についても言及している。

パフォーマンスのために現場を混乱させる状況となっている。

「都構想」は否決済み

維新はこれらの行為を「バーチャル都構想」として正当化している。しかし呼び込んだのは不要な混乱だけ。

それでも政令指定都市・大阪市があるから、混乱は最小限にとどまっているともいえる。仮に大阪市が解体され、政令指定都市の権限が返上され、また財源が取り上げられていたら、もっとひどいことになっていたのは容易に想像できる。

「都構想」は2015年5月17日の住民投票で、明確に否決されたもの。これを再び持ち出す事自体が異常。また新型コロナ対策に全力をあげる情勢のもとで、不要不急どころか元々する理由などない住民投票に時間と予算・職員などを割くことで、新型コロナ対策がおろそかになるのは明らかである。

この世論調査では、維新の悪宣伝が一定浸透しているようにも見受けられる。維新のごまかしとマスコミを通じての印象操作を、草の根からどう打ち破るのかが課題になる。