辺境の雑記帳2nd

ニュースや時事問題の考察など

大阪市の廃止・解体(いわゆる「都構想」)は世論でも否定:NHK調査

2018年4月3日のNHKニュース(関西)。

大阪市廃止・解体(いわゆる「都構想」)と総合区について、NHKが2018年3月下旬におこなった世論調査の内容が報じられている。

http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20180403/5648831.html

[caption id="attachment_6746" align="aligncenter" width="407"]NHKニュース 2018.4.3 NHKニュース(ウェブサイトキャプチャ)[/caption]

世論調査によると、「特別区にも総合区にもどちらにも反対」という声が多数を占めている。大阪市内では42%にものぼっている。

[caption id="attachment_6748" align="aligncenter" width="600"]NHK世論調査 「都構想」・総合区への賛否(NHKより)[/caption]

NHKによると、以下のようなことが指摘されている。

「どちらにも反対」と答えた人に理由を聞いたところ、▽「制度を変えるとむだなコストがかかるから」が35%▽「3年前の住民投票ですでに結論が出ているから」が31%などでした。

全く無駄なコストであり、2015年5月17日の住民投票でも結論が出ている、維新の側も一度は断念すると宣言したものである。

大阪市の廃止解体(いわゆる「都構想」)は論外

「都構想」は大阪市を廃止・解体して、自治権も財源も乏しい特別区に無理やり分割するだけである。

特別区は自治権の範囲は一般市以下に抑えられていて、特別区制度を導入している東京都では「都の内部団体」扱いの特別区から通常の一般市への移行を望む声もくすぶっている。

財政的にも大阪市の裁量で使えていた予算を一度府に吸い上げられる形で分配されるのでスケールメリットが小さくなる。また道路管理・都市計画・社会福祉・教育行政など、政令市として都道府県と同等の権限をもっていた事業についても、特別区になると府に権限が移り、区独自ではできなくなることにもなる。

大阪市を5つに解体する「大阪都構想」は、財政的にも立ちゆかなくなる、自治権がつぶされるなどの指摘が出て、2015年5月17日の住民投票で明確に否決された。

5つが否定されたから4つというのも、「アホかおのれ」としか思えないものである。

大阪市を仮想敵に仕立て上げてつぶそうと図り、自分たちの利権にしようとする、住民生活を壊そうとする、そのためには暴力的行為・謀略的行為・デマ流布・意に沿わない相手への執拗な嫌がらせも辞さないような異常な集団である大阪維新の会に、大阪市をおもちゃにさせるわけにはいかない。

総合区について

総合区についても、公明案では合区前提というのが大問題ではないか。

総合区については、行政にとってはっきりとしたメリットがあるならば導入するという選択肢自体は、理論的にはあるのかもしれない。

しかしその一方で、現行の行政区制度でも、市役所直下の部局と区役所との役割分担の割り振りは市の裁量で可能でもある。現時点では、あえて導入しなくても代替は可能ではないかという気もしないでもない。

当面は24区維持で、総合区は合区や「都構想」とは別個の議論を

大阪市の行政区を合併したり、分割したり、境界変更したりなどの変更については、未来永劫ないと縛るわけにはいかず、必要な場合は検討するという選択肢は、あくまでも理論的な意味では否定できない。

しかし現時点では、区の合併や境界変更などを求める声はほとんどない。

また総合区を仮に導入するにしても、それは合区とは切り離して考えるべきもの。現行24区の枠組みを前提にすべきものである。

公明案では現行24区を8区にまとめる前提になっているが、これは悪手ではないか。

「都構想」か「合区前提の総合区」かの二択という選択肢自体がおかしい。

区の合併には、住民合意を得るのに十数年単位の時間がかかる。これは、旧東区と旧南区の合併で中央区ができたときの実例がある。

また1970年代はじめには、当時の中心部のドーナツ化と周辺部の市街地化によって、中心部の区を統合し、郊外部の区を分区する案が出された。しかし区の統合は、20年近くたった1989年に発足した中央区と北区(北区と大淀区)の2例にとどまり、他の案は住民からの反対で立ち消えになった経緯がある。

総合区の導入の是非と現行行政区の合併は、別の次元の話である。「都構想」と絡めて、また行政区統合と絡めて、進めるべきではない。