辺境の雑記帳2nd

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詐欺「大阪都構想」を完全に葬り去る機会に

2019年3月8日、吉村洋文大阪市長と松井一郎大阪府知事はともに辞職表明し、入れ替えで出直し選挙に臨むとした。

「大阪都構想」なる大阪市の廃止解体策動は2015年5月17日の住民投票で完全に否決されている。維新の側も「住民の判断なので重く受け止める」として断念を宣言したもの。

しかし2015年の大阪府知事選挙・大阪市長選挙で維新候補が勝ったからといって、「都構想再挑戦が認められた」と都合よく解釈し、なし崩し的に持ち出し続けているものである。

それでは、維新がそこまで執着する「大阪都構想」とは何なのか。

吉村市長によると、こんなことを言っている。

https://twitter.com/hiroyoshimura/status/1103653811506147332

「都構想はシンプルだ」だけはその通り。実にシンプルな構図の詐欺だという意味で。

しかし吉村市長があげている理由は全く違うので、修正の必要あり。以下のように修正。

  1. 二重行政と難癖を付けて公的な施設を統廃合し、住民サービスを低下させる。
  2. 基礎自治体の財源と権限を奪って大幅に縮小し、住民に身近なサービスを身近でやりにくくなる仕組みを作る。
  3. 自治体の公的な役割を放棄し、公共を一部の人間の食い物にする。

要は特定の一部の人間の利権や私物化のために行政の仕組みを勝手に変えようという話。――それが「大阪都構想」。

1.については、住吉市民病院の統廃合が典型的な失敗例。統廃合で高度医療ができるという触れ込みだったものの、結果は地域の分娩施設を奪い、住吉市民病院で実施されていたレスパイトなどの取り組みは継承されず、また病気になった乳幼児が統合先病院ではキャパオーバーで受け入れてもらえない事例も報告された。

2.について。現行では政令指定都市として独自の権限をもち、スケールの大きな財源を持って運営していた市政の各事業。これが大阪市が解体されて特別区に「格下げ」されると、大阪市域の財源は一度府に移ってから特別区に再分配される仕組みとなり、財源が府に中抜きされる形で小さくなる。

都道府県と同等の権限をもって実施している政令都市の権限もなくなり、都道府県に移管される事業も多い。特別区独自でできることは縮小し、自治体としての権限も小さくなる。

政令指定都市では、都市計画について市独自で決定できる範囲が一般自治体よりも大きいこと、府道も市が一括して管理委託することで道路の不具合などの対応の窓口が一本化されていること、学校の教職員の独自採用や柔軟な配置によってより独自の教育行政ができること、など、より独自の権限を持ってきめ細かな行政ができることになる。しかし「大阪都構想」ではその権限がなくなり、決められない自治体になる。

3.について。「民間でできることは民間で」は、言い換えれば「公共の役割放棄」「一部の業者を参入させて儲けの手段にする」というものでもある。大阪城公園などはその例。維新市政になってから、公共空間としての公園の運営は軽視され、営利企業主導での店舗・大阪城をぶった切るような演出の有料ライトアップなど、おかしなことになっている。維新議員は公園を「空き地」呼ばわりしている例もあるという。また教育分野での「塾代助成」も、肝心の学力向上には効果が薄く、学習塾業者への補助となってしまっている状況にある。 人々の生活を壊し、街づくりに取り返しの付かない禍根を残すような、百害あって一利なしの「大阪都構想」。完全に葬り去らなければならない。