辺境の雑記帳2nd

ニュースや時事問題の考察など

2020年住民投票:大阪市を再び守りきりました

2020年11月1日――わたしたちのまち・大阪市を再び守った日。

維新によって仕掛けられた2度目の「大阪市廃止・特別区設置住民投票」を、ふたたび否決に追い込みました。

投票率62.35%、賛成675,829票(49.37%)、反対692,996票(50.62%)。17267票差での勝利です。

僅差とはいえども、前回2015年5月17日住民投票の時より投票率が下がったにもかかわらず、得票率を伸ばし差を開けた形になりました。

(参考値)2015年:投票率66.83%、賛成694,844票(49.61%)、反対705,585票(50.38%)、10741票差

市民の草の根の力の勝利

今回2020年住民投票は、かなり不利な状態から仕掛けられ、当初は賛成多数という世論調査が出ていました。直前の世論調査では、賛否は拮抗するところまで追い上げているとされていました。

ふたを開けてみると全体としては拮抗。開票所(24行政区単位)でみると、反対が大きかったのは港区(57.0%)、住吉区(55.0%)、阿倍野区(54.9%)、平野区(54.4%)、大正区(53.5%)、此花区(53.2%)など。「反対」が下回った区でも、前回より差を大きく詰めているケースも複数。(西区:2015年42.3%→2020年46.2%、中央区2015年45.95%→2020年49%)

逆に反対が少なかったのは、北区(43.7%)、淀川区(44.9%)など。

全体としては、24区中、此花・港・大正・天王寺・西淀川・東成・生野・旭・阿倍野・住吉・住之江・東住吉・平野・西成の14区で反対が上回りました。

維新という巨大組織・権力から仕掛けられた策動を、無名の市民一人一人の力で跳ね返したレジスタンスです。

政党や関連団体等の組織的な活動だけではなく、そういったところに属していない人達が一個人として、ビラ配布・自作ポスター掲示・自転車のカゴなどにステッカーを貼り付けてアピールなどで立ち上がった事例も複数あったと聞いています。これらのことは2015年の1回目の住民投票の時もあったと聞きましたが、市民の底力が再び発揮された形になりました。

「変化への不安」ではなく「制度そのものに無理がある」

維新は住民投票結果判明後「住民の間にある、変化への不安を払拭できなかった」などと言い立てているようです。

しかし「変化への不安」が問題ではありません。「制度そのものに致命的な欠陥があったから拒否された」ものです。

政令指定都市としての権限と財源を奪うこと。中心部の商業地域とその周囲に同心円状に広がる周辺部の住宅地域が総合的一体的に発展してきた「一つの大阪市」を、分断すればどうしようもなくなるのがわかりきっているのに、歴史的つながり・経済的つながり・生活圏などを無視して地図の上だけで分断しようとして、現大阪市域のどの区も共倒れに追い込もうとしたこと。このようなことが拒否されたものです。

また住民投票にあたっての協定書では、明記されていないもの、仮に特別区に移行した場合の帰属や取り扱いが未定となるものなども多数指摘されました。それらの明記されていない事業・未定の事業については、首長への白紙委任状態になっていたという重大な問題もありました。

それらの重大な欠陥を「変化への不安」扱いすることは、住民を引き続き分断しようとするものだと言わざるをえません。

「3度目の住民投票」はもうさせない

そもそも今回の住民投票は、2015年の住民投票には法的拘束力があるとされ、本来ならすること自体が不法にもかかわらず、維新があれこれと詭弁を弄し、また衆議院小選挙区で対立候補を立てられることを恐れた公明党を脅して取り込み、実施にこぎ着けたものでした。

今回の住民投票でも、維新運動員や狂信的な維新支持者による暴力行為や嫌がらせなども多数報告されています。また特別区設置協定書にはないような「住民サービスが上がります」というデマ振りまき、市役所と維新が一体化した宣伝など、極めて問題のある行為もありました。

維新の存在によって、住民の間に激しい分断が持ち込まれた形になりました。また維新の存在によって、大阪市で暮らし未来を担うこどもたち、定住外国籍住民、現在は他地域在住でも大阪市出身・親戚がいる・親や先祖のルーツの地など大阪市に縁のある人、結果次第では巻き添えになる可能性が出た隣接10市の住民など、直接投票権がない人たちをも不安に追い込む形にもなりました。

そういう脅しや不正常さを跳ね返しての勝利です。

しかしこれで「解決」というわけではなく、維新が「3度目」を仕掛けてくる可能性があります。

東徹参議院議員はツイッターで「3度目」について言及しています。

またテレビ報道によると、馬場伸幸幹事長・衆議院議員も「3度目」の可能性について触れたとか。

「3度目」の策動を打ち破るような取り組みも、引き続き必要になってくるでしょう。