辺境の雑記帳2nd

ニュースや時事問題の考察など

維新が「住民投票に関連してデマ電話がかかっている」と主張しているが…

大阪市廃止・分割をめぐる住民投票(2015年5月17日)に関連して、大阪市解体を推進する大阪維新の会の側から、世論調査を装った自動音声で「賛成なら投票は不要」と話している電話が市内の有権者宅にかかっているとする怪情報が流されている。

最初にその情報が流れたのは4月30日。4月12日の大阪市議選で東淀川区から初当選し、4月30日から任期が始まった維新の宮脇のぞみ大阪市議が、ツイッターやフェイスブックでその内容を広めた。

そして宮脇市議の情報に呼応する形で、橋下徹維新の会代表・大阪市長や、松井一郎維新の会幹事長・大阪府知事もツイッターや街頭演説でその情報を広めた。

そのことは新聞記事にもなったが、新聞記事だと維新が一方的に言い立てているのとはやや異なったニュアンス。

【大阪都構想】橋下氏「市民に投票で虚偽電話」(産経新聞・web 2015年5月2日) http://www.sankei.com/west/news/150502/wst1505020077-n1.html 大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長は2日、市内で街頭演説し、「大阪都構想」の住民投票に関し、賛成なら投票は不要だという虚偽の電話が市民にかかっているとして、「誰かがそう言っていたら、うそだと伝えて」と呼び掛けた。 橋下氏によると、電話は都構想の賛否を問うアンケートを装い「賛成の方は受け付けを完了したので、投票に行かなくても良い」との音声が流れる。 大阪市選挙管理委員会によると、2日までに電話を直接受けたという届け出はなく、伝聞に基づいた問い合わせが複数ある。事実なら公職選挙法違反(自由妨害)の可能性があるとしている。 大阪維新幹事長の松井一郎大阪府知事も同日、「発信元を調べないといけない。住民投票の選挙法違反だ」と市内で記者団に語った。

当然のことながら、こういう電話がかかってきたのが事実だとすれば、発信元を調べてしかるべき対処を取る必要がある。

しかし選挙管理委員会には「直接電話を受けた」という届け出はなく、伝聞による問い合わせだけ。

また維新の会もなぜか、選挙管理委員会や警察への届け出はおこなっていないという不審点がある。電話がかかってきたと主張しているのは維新関係者だけ。

維新関係者や支持者だけを選んでそんな電話をするのは極めて難しいだろうし、そんな自動音声電話をかけたらどこかで反対派や中立派の自宅にも着信する可能性も高い。また選挙管理委員会にも複数件の届け出や相談があるだろう。

今時の電話は発信者の番号を表示・記録する機能があることも多い。また不審に思って録音する人がいても不思議ではない。

しかし、そういう具体的な証拠が示されたことは今までなく、「維新の支持者から話を聞いた」とする抽象的な情報のみを唯一の根拠に、「不審電話がある」という情報がひとり歩きしている。

最初に情報を広めた宮脇市議に対して、ツイッターで「詳しく調べてほしい」と要望した人がいたが、要望をおこなった人が少なくとも2人ブロックされたという。

もしそんな電話がかかってきたのが本当だとすれば、住民投票そのものについては賛成派・反対派の立場の違い以前に、双方とも「公正な住民投票のためには、事実関係をきちんと調べなければならない」という点では一致できるはずだが、ブロックしているのは極めて怪しい。

「維新の会が、賛成派を有利にするために架空の『不審電話』のデマをでっち上げている可能性もある」とも疑わざるをえない状況になってしまっている。

(追記:2015/5/10):続報的なエントリです:『住民投票をめぐる2つの不審電話