大阪市を廃止・解体し4つの特別区に分割しようと図る、維新がいうところのいわゆる「大阪都構想」について、2019年12月26日の法定協議会で、制度案の大枠に関する採決が強行され、自民・公明の賛成で可決した。
今後制度案の詳細が詰められて2020年6月をめどにまとめ、2020年11月上旬にも2度目の住民投票に持ち込まれることが濃厚な見通しとなった。
2020年11月1日ないしは8日という具体的な日程まで噂されている。
「大阪都構想」は否決を、大阪市の存続こそが未来への道
そもそもいわゆる「大阪都構想」は2015年の住民投票で否決済みとなり、しかも住民投票の結果は「法的拘束力を持つ」となっているものである。
法的拘束力を真っ向から無視したものとなっている。
内容は「焼き直し」を通り越した「劣化」
しかも内容案もひどい。区割りを5区から4区に変更しただけで、前回案の事実上の焼き直しにすぎないものを「バージョンアップ」だという始末。
それだけでなく、一部の特別区区役所については現大阪市役所での合同庁舎方式にし、区によっては地域外にある庁舎に職員の大半が勤務する方式を想定している。
自治体地域外に役所があるのなんて、複数の離島からなる沖縄県や鹿児島県の自治体の例外があるくらいで、そんなものは通常は考えられないことである。
こんなもの、焼き直しを通り越して、劣化ではないか。
結局は、大阪市を破壊して、市の持つ財源と権限を取り上げるということに。住民自治の範囲を狭め、裏付けとなる財源も一部は府に取り上げられて少なくなることになる。
また、防災・教育・上下水道など、住民生活に身近な機能についても、ニアイズベターと称するものと相反し、市で一元的に身近な行政を行っていたものができなくなることにもなる。
ただでさえ維新政治によって、現在の大阪市や大阪府の体制でも、防災や教育などにかかる施策が削られておかしなことになっているのに、「都構想」で決定的に壊されることになる。
さらには現大阪市でおこなっている住民サービスについては、維持に「努力する」というだけで、保障はされていない。
大阪市以外の府域にも悪影響
さらに「大阪都構想」なるものは大阪市の市域だけの問題ではない。大阪市以外の府域についても悪影響を及ぼす。
仮に「都構想」が実現した場合、現大阪市域に隣接する自治体については、住民投票なしで特別区に移行することができるともしている。特別区では、一般市よりも行政の権限が狭いことになる。
また府は府下自治体43市町村と連携の元で府域全体の広域的な調整を行っていく立場だが、現大阪市域の一部の商業地域にだけ過去の乱開発的な発想で重点的に投資して、全域のことは無視ということもありうることにもなる。
全く問題外のことである。大阪市以外の府民にとっても有害ということになる。
2度目の住民投票の実施自体が法的には無効であるとする解釈もできるだろうが、現実的な対応としては、住民投票で否決をもって応じることが必要になっている。
維新のデマや暴力的行為にも注意
維新の側は、そういう疑念には全く回答できず、デマふりまきと暴力的行為で強引に押し切ろうとすることも予想される。
維新は、2015年の時もデマと暴力的行為で乗り切ろうとしていた。また大阪W選挙や堺市長選挙・2019年の大阪府議選・市議選など、維新からの悪質なデマ振りまき、暴力的行為は多数あった。
今回も、松井一郎が早くも、「住民説明会の時に反対意見は言うな」とばかりの発言をしている。
すでに、維新議員筋からはツイッターや市政・府政報告会などでデマを振りまいている事例が報告されている。
デマへの対応体制も強める必要がある。
また、維新の側が暴力的行為に訴えてくることにも、警戒と対策が必要である。
はねのけるのは「市民の共同の力」
前回2015年の住民投票時でも、事実を知った市民が、政党や関連団体とは独自に個人として「大阪市を守れ」と立ち上がった事例も多数生まれた。個人で作成した手書きやワープロ打ちのビラを駅頭などでまく人が何人も現れたり、自宅などに「都構想反対」の自作ポスターを掲示した事例もいくつも生まれた。
今回についても、「都構想」反対を表明している自民党・共産党・立憲民主党といった政党や関連団体の動きもそれぞれ重要になってくるが、その一方で同時に、超党派の市民からの草の根の動きを立ち上げていくことも重要になってくる。
草の根からの「大阪市の存続=都構想反対」の動きを再び作れるかどうかが、カギになってくる。