辺境の雑記帳2nd

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「都構想」で区役所がなくなるのは必然

大阪市を廃止・解体するいわゆる「大阪都構想」に関して、維新の側が「区役所はなくならない」とデマをまいている様子。

これはとんでもないデマ。

そもそもの話として、政令指定都市・大阪市が解体されるということは、その支所・出先機関である24行政区の区役所は必然的になくなることになる。

「区役所」とは、特別区の場合は特別区区役所(他自治体でいう市役所)のことをさすことになる。政令指定都市の区役所(他自治体でいう支所・出張所など)とは、同じ名前でも性格が異なる。

維新はこのことをごまかすために、特別区の区役所の下に、現行行政区を管轄地域として「地域自治区」を設け、地域自治区の事務所の名称を「区役所」にするごまかしで乗り切ろうとしている。

特別区の「支所」では権限が狭まる

政令指定都市・大阪市の区役所と、特別区の支所たる地域自治区事務所では、機能も権限も大きく異なることになる。

政令指定都市では一部業務については都道府県から事務権限を移譲され、都道府県と同等の立場でおこなうことができる。しかし大阪市の廃止・解体ではその権限を大阪府に返上するだけでなく、財源なども含めて大阪府に従属することになる。特別区ではその仕組み上、基礎自治体としておこなえる権限は、一般市町村よりも小さいことにもなる。

名前や建物が同じというだけで、権限は大きく狭まるということになる。もはや現行の区役所と同じものではないということになる。

特別区移行後の「区役所」維持は困難という指摘も

さらに、特別区移行後には、特別区の本庁の業務に人員を割かなければならず、維新が「区役所」と呼ぶ地域自治区事務所を整理統合して引き上げる可能性も高いとも指摘されている。

ジャーナリスト・幸田泉氏が2020年9月9日付で、『大阪都構想の「バージョンアップ」とは市民をだます詐欺度アップ!」とする論考記事を公表している。

https://news.yahoo.co.jp/byline/koudaizumi/20200908-00197157/

この記事によると、「特別区制度案」では特別区移行後の職員の3割~4割ほどが地域自治区事務所に配置されることになり、出先機関に人員が多く配置されて本庁がスカスカといういびつな組織構造になっている。

大阪府近隣の中核市では、支所やサービスセンターなどと呼ばれる出先機関に配置される人員は、平均で全職員の2割弱だという。

本庁での職員不足、「都構想」自体が施設廃止など住民サービス削減とセットになっていることなどで、自治体としての通常業務が回らなくなるという指摘。本庁職員の業務が増大して過労死の心配が出ることにもなっている。

必然的に地域自治区事務所=区役所を整理統合して、人員を特別区区役所本庁に引き上げ、財源不足の埋め合わせをしていくことは避けられなくなるということになる。

すなわち、その意味でも、特別区移行後は区役所=地域自治区事務所がなくなるということにもなる。権限が大きく狭められた窓口業務すら維持できなくなるおそれ。