政令指定都市・大阪市を廃止しその跡地に4つの特別区を設置するとして、大阪市の権限と財源を大幅に奪う、維新がいうところのいわゆる「大阪都構想」。
「大阪市を廃止し特別区を設置する」事の是非を問う住民投票は2020年10月12日に告示され、11月1日に投票となりました。
この問題では「大阪市がなくなる」ということが重大な問題になっています。大阪市が消滅すると、上下水道・街づくり・学校教育・社会教育・社会福祉・保育行政など、これまで大阪市がおこなっていた住民サービスの多くが消滅・ないしは大幅に縮小されることにもつながります。
財源も権限も奪われるのだから、新しい特別区でやりたいと思っていても収支不足でできない、または特別区に権限がないということも多く発生することになります。
住所表示変更も重大な問題
また大阪市の廃止・解体では、慣れ親しんだ歴史的な地名も変更されることも問題となっています。
維新の側は、とってつけたように現区名を町名の上に冠称としてかぶせるという策を出してきました。
原則として、現在の「大阪府大阪市○○区△△1丁目*番*号」は、「大阪府××区○○△△1丁目*番*号」に置き換えるという法則だとしています。
原則に沿うと、「大阪市阿倍野区文の里→大阪府天王寺区阿倍野文の里」、「大阪市東成区大今里西→大阪府北区東成大今里西」、「大阪市西淀川区御幣島→大阪府淀川区西淀川御幣島」、「大阪市住之江区御崎→大阪府中央区住之江御崎」など。
これは単なる住所表示変更ではありません。「大阪市」という地方自治体の名称、また政令指定都市の名称がまるごと抹殺されることになります。
[caption id="attachment_9420" align="aligncenter" width="376"] 西成区天神ノ森にて。「いやや 大阪府中央区西成天神ノ森 なんて!」と手書きポスターでの訴え。[/caption]
「大阪市」というブランド地名、また大阪市民が市民であるためのよりどころを奪っていることになります。
とってつけたように現区名を残しても、それは地名の歴史の抹殺、そして住民が築き上げてきた歴史の抹殺に他なりません。
地名変更には負担が
街角に設置されている街区表示板の張り替えだけでも、13億円の税金がかかります。
[caption id="attachment_9424" align="aligncenter" width="400"] 大阪市街区表示板。青・青緑・藤色・茶・緑の5色。隣の区と色がかぶらないように塗り分けられています。藤色の街区表示板は、ノダフジ発祥の地・福島区のみで使用されています。[/caption]
また、個人や事業所などで使用している名刺・事務用封筒などの備品・顧客名簿などの変更については、自己負担となっています。そういう面で経済的にも労力的にも、個人の負担が高くなることになります。