辺境の雑記帳2nd

ニュースや時事問題の考察など

維新「ファクトチェック」という名目の難癖

大阪維新の会が「ファクトチェッカー」なるツイッター公式アカウント(@oneosaka_factck)を開設している。

当該アカウントでは、以下のような紹介文を付けている。

大阪維新の会では、昨今の深刻化するデマ情報の氾濫を受け、住民の皆様に正しい情報を知っていただけるよう情報の真偽を客観的事実をもとに調査し、事実を発信していく公式アカウントを開設しました。 SNS上で、見過ごせないデマや誤情報等御座いましたら情報提供ください。

これについては「そもそも、ファクトチェックは第三者がするもの。当事者が『ファクトチェック』は趣旨に反する」という批判が出ている。

さらに、一般の人の書き込みを特定する形で引用した上で、維新側の見解を書き込むようなやり方に対しても、「政党公式としての意見表明・見解表明や言論を否定するものではないが、政党組織が一般市民個人の意見をつるし上げて『デマ』呼ばわりするようなやり方は、個人を組織的に恫喝するような形にもつながって、有権者の意見表明を萎縮させることにもつながり、度を超えている」と批判が出ている。

大阪市立高校移管問題でのすり替え

大阪維新の会は2020年、大阪市立の高校を大阪府に移管する条例案を提出し、大阪市・大阪府の両議会で維新・公明の賛成で可決させた。

このことに関して、維新「ファクトチェッカー」では、個人アカウントの発言趣旨をねじ曲げて晒すような形での「ファクトチェック」書き込みを、2021年3月5日におこなった。

ツイッター上のある個人アカウントが、大阪市指定有形文化財でもある大阪市立工芸高校本館の写真を添付した上で、以下のようなツイートをおこなっていた。

綺麗に撮れた 大阪市指定有形文化財 維新と公明党によって放棄されることになりました。 https://twitter.com/memenyan_ikiru/status/1338728809416159233

維新「ファクトチェッカー」はこのツイートを晒す形で、「デマ」扱いするような書き込みをおこなっている。

維新「ファクトチェッカー」いわく、「市の指定有形文化財であるこの建物が府への移管によって破壊されることはない」。

いったい何を言っているのか。高校移管のことを「建物をつぶす」ことにすり替えている。

元ツイートでは「市立高校の大阪府移管によって建物が破壊される」とは一言も言及していないし、そのような読み取りをする余地もない。

ありもしない前提をでっちあげて、自分の都合のよいようにねじ曲げた結論を強引に持ってくる。そのことで相手を「デマ」呼ばわりする。こんな手法はどうなのか。

しかも維新「ファクトチェッカー」では、このように言及している。

発信者は建物自身が破壊されるという表現は使用しておらず、所有者が大阪市から府に変更されることによって、“大阪市が(所有権を)放棄した”という趣旨で発信した可能性がある。

「可能性がある」どころか、ほぼすべての人がそのように読み取る内容だと思うのだが。

元ツイートでの発言趣旨をわかっていながら悪印象を付けるために、わざとねじ曲げたのかと思わざるをえない。

高校の大阪市から大阪府への移管によって、大阪市の資産を放棄して府に渡すというのは事実である。元ツイートでの指摘は何も間違っていないということになる。

こんな乱暴な自称「ファクトチェック」、実際はつるし上げにもなりかねない行為は問題だと感じる。しかも間違っていないことに対してわざわざ「デマ」扱いで噛みついているというのもおかしい。