辺境の雑記帳2nd

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堺市、児童自立支援施設にかかる住民監査請求

「維新市政」になった堺市で、2022年10月12日付で、児童自立支援施設をめぐる住民監査請求が起こされたということ。
Yahooニュース2022年10月13日配信、ジャーナリスト・幸田泉氏の記事「堺市の児童自立支援施設を巡る方針転換で住民監査請求」によると、経過はおおむね以下の様子。


  • 都道府県および政令指定都市には児童自立支援施設の設置義務がある。
  • 堺市は2006年に政令指定都市に移行し、児童自立支援施設の設置義務が生じた。しかし必要な用地などがすぐに確保できなかったことなどから、経過措置として、市立児童自立支援施設を設置するまでの当面の間は大阪府に委託することにした。
  • 堺市の住民らは、市立児童自立支援施設設置を求めていた。
  • 市は児童自立支援施設設置にかかる準備作業を進めたが、広大な用地などが必要になることなどから、用地選定などで難航した。
  • 政令指定都市移行から12年後の2018年になり、必要な用地が確保でき、2025年度にも開所を目指すというめどが立った。
  • しかし2019年に就任した、維新の永藤英機市長の方針で、「堺市立の自立支援施設設置」は「コスト面」として断念し、大阪府に委託する方針を決めた。2021年に事務委託に関する合意が成立した。
  • 大阪府との協議の中で、大阪府がかねてから進めていた府立施設での寮舎建て替え費用と、堺市から受け入れる児童の定員分の寮舎新設費用を堺市が負担するという方向性が打ち出された。
このことについて住民らは「堺の子どもは堺で育てるのが本望」とする教育的視点を前面に打ち出した上で、「子どもの教育をコスト面だけで扱うと受け取られるのは本意ではないという立場ではあるが、コスト削減というのなら、府に委託することが必ずしもコスト削減になるわけではない」「コスト面といっても、国からの補助や交付金などもあり、堺市の実質負担は抑えられる」「府立施設の整備費用を堺市が負担するのは自治体の財政区分を定めた地方財政法に違反する」と訴えている。

維新市政での政令指定都市権限の骨抜き

政令指定都市の権限を骨抜きにして放棄する、市の財産を大阪府に召し上げるというのは、維新市政になった大阪市でも「大阪市立の高校・特別支援学校の扱い」などで問題になってきた。堺市でも、児童自立支援施設の形で問題化している。

高校と児童自立支援施設という施設の性格の違いはあり、また児童自立支援施設については高校ほど知られていないような施設ではあるが、本質的なところでは、維新市政のやり方として共通するものを感じる。

市で独自の権限と財政力を持っておこなえるものをわざわざ放棄し、大阪府に委託するというのは、教育的な視点でも十分ではないし、「ニアイズベター」にも反する。さらに「コスト面」を口実にして実際は市の負担が増えかねないこと、市の財産を府に召し上げる形になることなど、問題だと感じる。

維新の危険性、住民無視ということが、またひとつ問題になった形にもなる。