辺境の雑記帳2nd

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立憲代表の「維新すり寄り」発言はどうなのか

立憲民主党・泉健太代表が、2022年10月21日の講演で、このような発言をしたとか。

立憲民主党は(憲法審査会の開催について)極めて自然体で、あくまで必要であれば開くという立場。日本維新の会は改憲(を掲げる)政党ではあるが、実はそんなに差がないと思っている。憲法裁判所、緊急事態条項は、我々も議論はやっていいと思っている。

憲法9条(改正)も、集団的自衛権をフルで認めるのは我々はまだ問題があると思っているので、必要であれば憲法審で議論すればいい。決定的な対立ではないのかな、と感じている。

なんということを言い出すのか。

「日本維新の会は改憲(を掲げる)政党ではあるが、実はそんなに差がないと思っている。」。いや、そうじゃないだろう。

大阪府内では、広範な市民という枠で、維新が進めるいわゆる「大阪都構想」に反対してきた経過がある。広範な市民の中には、無党派の人、保守系政党の支持者、リベラル系政党の支持者などもいた。立憲民主党の議員・支持者も、「都構想」反対で立ち上がり、維新と対決してきた。

大阪市会には残念ながら立憲の議席はないが、大阪府議会では立憲所属の議員が会派「民主ネット」として、維新の悪政への追及とよりよい府政への転換を目指す一翼となっている。

泉代表の言動は、大阪の立憲議員・支持者だけでなく、大阪で維新の悪政と対決してきた市民を後ろから撃つようなものに他ならないようにも感じる。

また国政レベルでも、立憲民主党は、当時の安倍政権が憲法を踏みにじるような強引な動きをしていたことに対応して、憲法に基づいた政治・憲法の手続きに沿った政治を進めるという理念、立憲主義を掲げたという結成の経過もあった。そして共産党や社民党などほかの国政野党とともに、「立憲主義に基づいた政治への転換」「立憲主義に基づかない立場からの改憲論議は認められない」という共通点で野党共闘をおこなった経緯がある。

その一方で維新は、国政では、安倍政権のやり方をより醜悪なやり方で実行しようとする別働隊のような役割を果たしてきた。維新は「改憲」を掲げているが、維新が掲げる改憲の方向性もとんでもないものである。 維新は、現行の日本国憲法の理念を骨抜きにし、個人の尊厳や権利などを制限して為政者が強権的に行政をおこなううようなやり方という方向への改憲を掲げている。

そのような維新と組むと受け取れるような泉代表の発言は、立憲主義という観点からもどうなのかと感じる。

泉代表の地元・京都府では、大阪とはまた異なった事情もあるのは確かに事実ではある。京都での政治構図は「共産党」と「共産党以外」の大きな枠となり、共産以外の国政野党が自民党に相乗りしている事情もある。

国政とはまた異なる京都での政党間の微妙な関係のもとで、京都の共産党は、国政レベルでの野党共闘の大義を優先して、2021年総選挙では小選挙区京都3区で自前の候補擁立を見送った経緯がある。泉代表の地元・京都でも、野党間での関係の微妙さが深刻化することにならないかと危惧する。

いずれにしても、泉代表の発言は「極めてまずいもの」であると感じる。