辺境の雑記帳2nd

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高石市、「都構想」の巻き添えになる危機

2023年4月23日投開票の統一地方選挙後半戦。高石市長選挙が問題になっている。

高石市では「非維新」系の現職・阪口伸六市長に対しし、維新が候補者を立てる構図となっている。

そのことで、いわゆる「都構想」について、維新側から現職サイドの主張は「デマ」だとする攻撃がおこなわれているという。

しかし、実際はどうか。

「都構想」では、特別区になった地域の周辺自治体については、議会の議決と首長の承認で、特別区に移行できることになっている。

高石市は大阪市と接しているわけではない。しかし大阪市が特別区に移行→隣接する堺市も特別区に移行」となると、必然的に、堺市と隣接する高石市に飛び火してくることになる。

高石市長選挙での現職陣営側の説明は、間違いとは言えないということになる。

また高石市については、堺市への編入合併の構想が何度も持ち上がったが、住民は高石市として自主独立の道を選択したという歴史的な経緯もある。

高石市は、文化や人のつながり的には堺市(特に現西区の浜寺や鳳)とはつながりが強い条件ではある。しかし自治体としては、「政令指定都市移行の悲願を目指す一環として、高石市を合併する」構想も検討していた堺市に対して、合併を明確に否定する道を取った。

1970年代にも堺市との合併を拒否し、また直近では2000年代初頭にも合併構想が浮上した。2003年の高石市長選挙と同時実施された、合併の是非を問う住民投票では「合併反対」が圧倒的多数となった。またこの年の高石市長選挙で、合併反対・市の自治を守りたいとした阪口市長が初当選した経緯もある。「堺市高石区」として堺市内のひとつの行政区になるにしても、あるいは現在の堺市西区の一地域になるにしても、いずれにしても堺市になるのは拒否し、高石市としてひとつの市としての道を選んだ。

そしてそこから20年、再び高石市消滅の危機が襲来しているということになる。政令指定都市大阪市を、自治権を町村以下の権限に狭めようとする「特別区」に解体しようとし、さらに、50年来の悲願で政令指定都市へと移行した堺市も「特別区」に格下げしようとする、そのような「大阪都構想」を掲げている大阪維新の会が猛威を振るっている。大阪市→堺市と来れば、次は高石市の番という不安もでるということになる。政令指定都市堺市の一部になることすら拒否したのに、さらに大阪府の付属物となって自治権が大幅に減らされるなど、市民にとっては容認しがたいものであろう。