辺境の雑記帳2nd

ニュースや時事問題の考察など

富田林パワハラ、加害市議の「第一声」

2023年4月16日告示の統一地方選挙・一般市市議選挙。

大阪府富田林市議会でのパワハラ案件、ひどいことになっている。

詳細は別ページに譲るが、端的には、

  • 2人いる共産党富田林市議会議員団の議員間で、1人の市議からもう1人の市議へのパワハラ案件があった。
  • 被害者の市議が訴えたが、共産党の対応が遅れたり、不十分な点があった。
  • 2023年3月、共産党大阪府委員会は、「加害者市議から被害者市議に対するパワハラ行為があった」「また被害者市議だけでなく他党市議へも、人権にもかかわるような不適切発言などもあった」と認定した。大阪府委員会と共産党河南地区委員会が事実関係を公表し、また被害者に対しても党としての見解文書を送付した。
  • 事実関係の公表と前後して、加害者市議は党内役職からの辞任と「離党」を表明し、受理された。
  • マスコミは、当事者の両市議、および党事務所に取材をした上で、新聞記事としても報じた。
  • 共産党としては「加害者市議を2023年4月の選挙に公認しない。無所属立候補も認めない」という方針を表向きには明らかにしていた。しかし加害者は無所属で立候補し、それに共産党河南地区委員長や富田林の地域の幹部も含む党員が同調して「実質的な共産党候補扱いで支援している」という情報が指摘されている。
  • 一方で被害者市議は、出馬を求めたものの、共産党の公認が降りず、立候補断念を余儀なくされた。

という経過。

そして、パワハラの加害者とされ、離党して無所属立候補した岡田市議の演説の様子がTwitterで流れている。選挙事務所前での第一声の様子。

しかも選挙事務所は「富田林生活と健康を守る会」の看板も掛かっている。選挙事務所看板は「新日本婦人の会富田林支部」の看板の上にかけられ、また隣には「公正・民主的な明るい富田林市をつくる会」もかかっている。俗に「共産党系」と言われ、組織的には一個人有志の集まりで共産党組織とは別組織のものの、団体幹部には共産党でも中心的な活動家となっている人も多い、いわゆる民主団体である。これが何を意味するのだろうか。

加害者と指摘された岡田氏は、パワハラ問題について「デマだ」と繰り返している。

しかしこれは、上記で引用したTwitterでも突っ込まれているように、筋が通らない行為となっている。また訴えについても具体性はなく、「パワハラ被害の内容を具体的に説明し、またその説明には矛盾や不審点も見当たらない」という被害者の訴えとは大きく異なることになる。

「被害訴え」をどうみるか

もっとも一般的にいえば、「被害者とされる人物の訴えが、虚偽あるいは著しい誤認だった」ということは、理論的にはありうる。対処する側、および情報に触れる第三者の側は、そういう可能性を考慮しなければいけないというのは、個別の話とは別として一般的な対応としては必要ではある。

しかし富田林市の案件では、双方の主張を検討すると、被害者の主張する事実経過は具体的かつ論理的で、そのような不審点は全くない。一方で、加害者とされた人物の言い分は、演説内容も、またほかのところで発言したとされるメモの要旨でも、内容が抽象的であり矛盾点や疑問点も多いと感じる。双方の主張を検討すると、被害者側が「虚偽、あるいは事実を著しくゆがめたもの」を言っている可能性はまず考えられないと思われる。

「加害者が被害者面しながら、自分にとって気に入らない相手に加害行為を仕掛け、被害者やその支援者、および加害者にとって都合が悪い指摘をした第三者を陥れたという、典型的ないじめの手口」案件とは全く異なる。

また、共産党大阪府委員会の調査(これも被害者によれば、加害者側に立った不十分な調査だったと訴えているようではあるが)でも、加害者市議のパワハラ行為は認定されている。この認定が事実無根だというのならば、共産党大阪府委員会に異議申し立てをすればよいし、共産党の役職を辞任する必要もないし、離党する必要もない。またマスコミ取材を受けたのならば、マスコミの前で「パワハラとされたものは事実無根で・潔白だ」とでも具体的な経過を示してにコメントすればいい。しかしいずれもおこなわず、離党からの無所属立候補、抽象的な弁明に終始するという形になっている。

また共産党にとっては、自分たちの組織が「嘘を言っている」と攻撃されているということにもなる。共産党としても、一定の対応が必要ではないのか。