辺境の雑記帳2nd

ニュースや時事問題の考察など

相変わらず「西成区ヘイト」で「都構想」宣伝する維新

大阪市の廃止・解体、維新がいうところのいわゆる「大阪都構想」。

維新は、大阪市24行政区の一つでしかない「西成区」に対して、事実とはかけ離れた異常なイメージを振りまく「地域差別・地域ヘイト」と一体で宣伝している。

2015年5月の住民投票でも同じような地域ヘイトを繰り返したが、今回もまた蒸し返している。

2020年住民投票に向けた維新の特設サイト。維新は、西成区全域がまるでおかしな街かのような偏見・地域差別むき出しの人物設定をおこなったマンガを、2020年8月に発表した。

[caption id="attachment_9210" align="aligncenter" width="869"]維新のマンガ 維新「都構想」マンガの「登場人物紹介」。「西成区」におかしな意味合いを持たせて強調している。[/caption]

http://oskweb.wpblog.jp/post-9208/

西成区維新も地域差別に加担

そして、西成区の維新はといえばこんなことを。

辻淳子大阪市議は、維新が製作した西成区ヘイトマンガを肯定すると受け取れる書き込みを、ツイッターにおこなった。

そして辻市議は2020年9月20日、ツイッターで「西成区のイメージを変える為、新住宅表記に「西成」を入れないで欲しいと多くの方々から要望されます。」と発言。

しかしながら、「イメージを変えるために住所表記をなくす」は、因果関係がめちゃくちゃじゃないかと。

「イメージ」というのは、「あいりんでのセンセーショナルな現象」などのイメージを「西成区全体」かのようになすりつけられることだと推測される。

「西成区」への不当なイメージなすりつけ

西成区については、「あいりんでのセンセーショナルなイメージ」と同一視された、事実に反するイメージを押しつけられてきた。

あいりんにおかしな興味を持ってよそから流入した者、「アングラマニア気取り」「アウトローマニア気取り」などあいりんをネタにして面白おかしく騒ぎたい者や、一面的なマスコミ報道などが、そういう一方的内容を「西成(区)」呼ばわりすることとセットで、偏見が一方的に振りまかれてきた。これは、ほかの行政区や地域ではみられない被害である。

西成区に対して事実に反するマイナスイメージを勝手に振りまかれる。いくら訂正してもデマが繰り返される。――西成区の住民や出身者など縁のある人は、そういうのにうんざりしてきたという経過がある。

「事実に反するイメージ」の詳細については、当ブログの過去エントリ『「あいりんのイメージを西成区全体にかぶせる」のは許しがたい』(2018.05.06)でも書いていたので、そちらを参照されたい。

http://oskweb.wpblog.jp/post-6875/

西成区の住民や縁のある人は長年にわたり、不当に貶められたイメージの払拭に取り組んできた。

[caption id="attachment_9329" align="aligncenter" width="600"]西成区顕彰碑 西成区の地名の由来と、現西成区北東部から浪速区にあたる今宮村の「二大奉仕」の故事について記した、「西成区顕彰碑」。西成区役所前に2018年11月建立。[/caption]

さらに、「あいりん」と地理的に重なった地域の住民が地域環境改善を求めて声を上げることや、西成区の人が不当に押しつけられたイメージを拒否することは「あいりんの人への差別」とでも言いたげな誤解。「汚い街・ガラが悪い街を理想としている」かのように勝手に決めつけられる誤解。――そういう誤解まで生まれ、西成区の人が声を上げることを非難するような一部の風潮も出たものの、それらの誤解についても払拭を図ってきた。

あいりんについても、不法投棄対策、路上不法占拠屋台の撤去、ホームレス問題など、地域の街づくりの観点と一体化した対策が1990年代以前から長年継続的に取り組まれ、2000年代以降には目に見えて改善が進んできた。

これらの取り組みは、政治的には保守や革新、右派や左派などといった立場の違いにかかわらず、広範な市民・区民の共同で進めてきたものである。

維新がしてきたこと

その一方で、維新は何をやっているのか。

維新本部レベルでは、時代錯誤の皮相な見方に基づいて西成区を中傷している。上の方で触れた地域差別マンガなどが典型。それだけではなく、橋下徹が現役時代からずっと、維新は西成区への中傷を継続的に繰り返している。

そして西成区の維新は、悪いイメージの払拭のために地名をなくすという西成区民向けの宣伝を繰り返している。

2015年5月の1度目の住民投票の時にも、維新は「西成区」への悪宣伝を繰り返した。

http://oskweb.wpblog.jp/post-2184/

http://oskweb.wpblog.jp/post-2298/

http://oskweb.wpblog.jp/post-2489/

維新は1度目の住民投票以後も、西成区への悪宣伝を機会あるごとに繰り返してきた。

しつこくデマがまかれることにうんざりしたことで、「地名をなくしたい」という素朴な思いが出ることはわからなくもない。しかし維新は、「マイナスイメージを勝手に付けられたくない」という素朴な思いを悪用しているような形になっている。

維新は自分たちでわざわざ悪いイメージを振りまいて「西成区」への風評被害を蒸し返し、広め、固定化させ、地に落としている。そして悪いイメージを変えるためには「都構想」で「西成」の地名を消滅させればいいとばかりのマッチポンプをおこなっている。

悪いイメージを振りまいている者を放置して、それどころか悪いイメージを振りまく者に同調する・自身が悪いイメージを振りまく側に立つという狼藉までして、名前だけ変えても余計におかしなことになるという気がする。

維新のやり方は、「大阪市をつぶす」ために「西成区」をスケープゴートにしている形にもなっている。