辺境の雑記帳2nd

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堺市長選挙は独立日程で実施へ

堺市選挙管理委員会は2022年12月10日の会議で、2023年6月に任期満了となる堺市長選挙の日程について、特例を利用して統一地方選挙の日程に合わせて2023年4月におこなうことを否定し、6月に単独日程でおこなうことを決めた。

首長選挙としては大阪府知事選・大阪市長選との「トリプル選挙」、堺市民の投票行動としては府知事選・大阪府議選・堺市議選と同日の「四重選挙」になる可能性も取り沙汰されたが、選管日程では否定されたことになる。

堺市長選挙については、維新が同日選を主張していた。同日選挙で選挙費用が圧縮できるなどとしたことが、実際は自身に有利にしようとする政治的思惑だとも見られる。一方でほかの会派は「選管の判断」として見守っていた。

選挙管理委員会は「2019年の参議院選挙で開票ミスがあり訴訟にもなった。選挙実務が増えるとミスが増える可能性もある」などとして、中立・公正な判断をおこない、同日選を否定する結論を賛成多数で決定した。

※「参院選挙の開票ミス疑惑」→2019年の参議院選挙では、美原区の開票区で、比例区で立候補していた共産党のYOSHIKI(山下芳生候補)の個人票がゼロとして集計された。共産党書記局長や副委員長を歴任している、いわゆる副党首級で全国的に一定数の個人票が見込める候補者でもあり、また共産党は「共産党としては有権者には政党名で投票を呼びかける。その一方で党が重点候補と位置づけた候補者を確実に通すために、重点候補の主要活動地域を地域割りした上で、党員は在住地域に割り当てられた重点候補に個人票を」という方針をとり、大阪府担当の重点候補は大阪府在住でもあるYOSHIKIだった。これらの背景から、「ゼロ票」は考えにくかった。府内の他地域では一定の得票が入っているのにここだけ「ゼロ票」という結果になっていた。「YOSHIKIに個人票を投票したのに、その票が消えている」として、美原区在住の有権者が訴え出たもの。参院比例区は政党と200人以上いる名簿登載者のいずれにも投票できる方式で、過去にも他地域で集計ミスなども多発し、このケースでもほかの個人候補の票などと取り違えられたとも推測されるが、堺市選管は「開票が結了し、投票用紙に封をした後なので調べられない」などとしていた。

参議院選挙とは「複雑さ」の質が少し違うが、異なる選挙をいくつも同時に実施するとなると、一般的にいえば、有権者が混乱する、選挙実務上も「投票所が狭苦しくなる」「作業が同時進行でミスを誘発しかねない」などのリスクが高まることになる。

選管の判断は、政党などの思惑とは独自に判断したものなので、それを尊重すべきであろう。

きな臭い観測も

その一方で、早速きな臭い観測もでている。

維新は同日選挙に無理やり持ち込むために、永藤英機市長が4月にあわせて辞任する可能性も捨てきれないという指摘。

永藤市長が「出直し選挙」を仕掛けて再出馬して当選した場合は、任期は元の任期をそのまま引き継ぎ、6月までとなるので、辞任する意味はないようには見える。しかし、永藤氏が府議選なり堺市議選なりの別の選挙に転身するか、政治家としてはその時点で引退するかなどして、堺市長選挙に別の人を出せば、それは可能になる。

そのネタは決して荒唐無稽なものではないだろう。実際に2019年春、維新は統一地方選挙に合わせて、大阪府知事・大阪市長ともに本来は同年11月までの任期だったにもかかわらず、同年4月の統一地方選挙(大阪府議選・大阪市議選)と同一日程にするために、吉村洋文大阪市長を知事選に、松井一郎大阪府知事を大阪市長選挙にそれぞれ入れ替えて出す「クロス選挙」を仕掛けてきた。それに伴い吉村・松井は任期を残して辞職している。

維新のことだから、何を仕掛けてくるかわからない。どんな状況になっても、維新の異常な政治をやめさせ、市民に取り戻すという観点での行動が重要になるだろう。