辺境の雑記帳2nd

ニュースや時事問題の考察など

処理水・汚染水を「Fukushima Water」呼ばわりはない

仙台市青葉区の共産党のツイッター(現・X)で、このような発信が。

文章そのものについては、特にコメントすることはない。

しかしそこには、主張を宣伝する画像が付記されている。この画像に記載されている内容が引っかかる。

「ALPS処理水 海洋放出に反対します」という日本語に、「Stop Fukushima Water Release Now」という英語を併記している。

日本語での内容は、当方も海洋放出には反対であり、また少なくとも「科学的な根拠を見極めて慎重な立場を取るべきであり、現時点での強行は極めて遺憾である」という観点を持っているので、日本語の内容だけなら同意できる。

しかし、併記された英語がひどい。誤訳なんてレベルではなく、いくら何でもこれはないだろうというとんでもないもの。

福島県のミネラルウオーターがなんでこんなところにいきなり出てくるんだ。福島県の日本酒も、福島県の水で仕込まれていて、おいしいと評判が高いよね。

いや、ここではそういう話ではない。

処理水・汚染水を「Fukushima Water」(福島の水)呼ばわりしているというとんでもないもの。

こういうものって、特定の地名をかぶせると、その地域への差別につながるので、避けるべきとされているものである。

原発事故については、設置を進めた東電や、設置を容認した国策こそが問題視されるべきもの。原発事故によって生じた処理水・共産党が指摘するところの「汚染水」については、海洋放出については、科学的根拠が十分に解明されていないことや風評被害なども含めて慎重な対応を取るべきという主張があることは当然である。共産党も、そのような主張をおこなっていると理解している。

処理水・汚染水の問題は、元々の原因を作った国や東電の責任こそが問われるべきで、福島県の土地に根ざして生活してきた人に非を押しつけるような性格ではない。うちは宮城県だから・仙台だから、福島県のせいにしておけともとれるもので、その意味でもまずい。

また原発問題ではなく、異なるカテゴリでの話になるが、病気の名称については、発見された地名や大流行した地名を冠するのは地域差別につながるのは極めてまずいとなって、そういう表現は避けるという世界的な流れが、近年ではできている。例えば、新型コロナウイルス感染症を「武漢肺炎」などと呼ぶのは禁忌とされ、差別表現だとみなされている。そういう流れが定着する前に発生した「スペイン風邪」「水俣病」などの病名の表現もあるが、そのようなものについても関係者から声が上がった場合は将来的に見直されてもおかしくない。

処理水・汚染水をFukushima Water呼ばわりするのは、それと同等の、差別的、あるいは悪意を感じる表現だと受け止められてもおかしくない。

しかし当該ツイッター(X)では、その後も、Fukushima Waterという表現は問題はないかのような内容を、他の人のリツイート(リポスト)も含めておこなっている。

なんだかなあ、それでいいのか、と感じる。