辺境の雑記帳2nd

ニュースや時事問題の考察など

「しんぶん赤旗」過去記事が突然消える

「しんぶん赤旗」ウェブ版の過去の記事が、2023年12月になって突然消えたと、ツイッター上で話題になっていた。

一般的にいって、赤旗のウェブ記事は、古い記事でも残す運用をしていると見受けられる。日本の新聞社系のニュースサイトでは、一定期間が経過した記事をウェブ上から削除する場合が多いが、そういったのとは異なる運用になっている様子。

消えたといってもサーバーごと飛んだわけではなく、特定の記事のみが消えていたとのこと。

草津事件での「赤旗」記事

群馬県草津町の無所属町議が2020年、「町長から性被害を受けた」と主張した問題に関する記事。この問題では、名指しされた町長は一貫して具体的な根拠をあげて「町議の訴え」を否定した。最終的には、この手の事件では異例となる「町議の告発は事実無根」だと司法でも認定される形になり、町議(リコールで失職後、2023年4月の選挙に出馬したが落選)は2023年秋になり、訴えが虚偽だったことを認めた。

この問題では、作家の北原みのりや、性犯罪被害者支援団体の代表など、町議を支援した自称「フェミニスト」が、「セカンドレイプの町草津」などと町ごと中傷するなどし、性被害に抗議するとする「フラワーデモ」を草津町でおこなうなどしていた。

当該町議は「性被害」告発問題のほか、議場での不適切発言や居住実態疑惑などの多数の問題を起こして、リコール請求が出されるに至った。「フェミニスト」は当該町議の数々の行為をなかったことにして、リコール請求を「女性差別」「もの言う女性、性被害告発の口をふさごうとする悪意」かのようにねじ曲げて、リコール反対運動などもおこなった。

共産党の対応

共産党は、議会での関連資料を読む限り、現地の党町議は良心的な対応をおこない、町長の側に立って、当該町議とは距離を置いていたことがうかがわれる。

しかし、隣町の中之条町の共産党女性町議が、「フェミニスト」と一緒になって、2020年12月に草津でおこなわれた「フラワーデモ」に参加した。

また地域を管轄する群馬県委員会・群馬県北毛地区委員会が、「フェミニスト」に同調するような形で、「リコール反対」などとする声明を出すに至った。

それらの経過は2020年12月、「しんぶん赤旗」で大々的に取り上げた。それをウェブ版の赤旗にも掲載した。赤旗のウェブ版は、「編集局が主要記事とみなした」と受け取れるような記事を選定したという形で、無料公開されている。ということは、共産党の中央委員会や赤旗編集局のかなり上の方で権限を持つ人が、このような方針を容認したと言うことにもなっている。

いわば、共産党は、現地の町議が正しい対応をしたのを、組織的にねじ曲げた形にもなっている。

これらの共産党の対応には、近年の「ツイフェミ」すり寄りへの批判の一環としても、不信感が広がっていた。

3年後の「記事削除」

2023年12月10日頃に「記事が消えている」と気づいた人がいた。そのことが11日頃からツイッター(X)で広まり、「不都合になったから黙って消したのでは」などと憶測が広がった。

ちょうど新聞休刊日にもあたっていたこともあり、しばらく様子見をしていたら、2023年12月14日付のしんぶん赤旗紙面に「当該記事を削除する」と告知が掲載された。

しんぶん赤旗2023年12月14日付

しんぶん赤旗2023年12月14日付

関連の3記事が、サイト上から削除されたと指摘されている。

もっと踏み込んだ対応を

削除するという結論自体は、間違ってはいないのだろう。しかし、削除のアナウンスについては、「当該者の虚言が問題であること」だけに矮小化している。「当該者の虚言はそうなのだが、それに同調した人たちの責任は?」「なぜこのような大失態をしてしまったのか」という点については、掘り下げられていない。

草津の事件など、発覚当初から、どうも胡散臭いと思われていたものである。それを「女性イコール常に弱い立場という偏見を前提に、女性が被害を訴えているんだから、疑うこと自体がおかしい」かのような雑なくくり、パターナリズム的な偏見で、暴走してしまった結果、虚言・冤罪に加担してしまったということになってしまう。

またことは、町長を無実の罪で「犯罪者」かのように扱ってしまったという、重大な人権侵害事案でもある。選挙で選出されるような公職者は一般人よりも受忍範囲は広いとはいえども、さすがに冤罪までは度を超えているものである。

当該者にだまされた被害者面という分析にとどまっていてはいけない。当事者にきちんと謝罪等の対応などをしたうえで、なぜこのようになってしまったのかという検証が必要である。