辺境の雑記帳2nd

ニュースや時事問題の考察など

ハラスメントを正当化するのはどうなのか

いったい、どういう了見なのか。

2024年2月2日、たむとも(共産党・田村智子委員長)の記者会見。

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 共産党の田村智子委員長は2日の会見で、1月の党大会での地方議員に対する自らの発言が党内外で「パワーハラスメント」と指摘されていることについて「パワハラではなく発言に対する批判だ」と反論した。記者団の質問に答えた。


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(記者の質問と質疑応答は23:11~)

しかし、これは重大なすり替えであり、ハラスメントへの無理解というべきもの。

そもそもの話として、党大会での発言者は、松竹氏除名問題への対応をめぐって、「党が松竹氏におこなった対応の是非については、ここでは異論を唱えるつもりはないし、踏み込まない」と立場を鮮明にした上で、それとは別の角度で「党の対応が一般的な社会通念からしても乱暴に見えるから、党外の有権者のみなさんから誤解されていると、活動の中で感じている」「党の対応が正しいのならば、もっとていねいな対応をしてほしい」という趣旨を訴えたもの。

しかしそれに対して、中央委員会が組織ぐるみであからさまな発言趣旨のねじ曲げて、「党が敵だと認定した人物に同調している」かのような印象操作をした上で、討論のまとめである「結語」を中央委員会総会で採択し、たむともが代表者として報告にたち、その発言者を人格攻撃レベルの内容で吊し上げたという経過。

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文章に起こされたものを見てもひどい。

発言者の実名こそ名指ししていないが、明らかに個人が特定できる形で、「発言者の姿勢に根本的な問題がある」「党員としての主体性を欠き、誠実さを欠く発言」「まったく節度を欠いた乱暴な発言」「政治的本質をまったく理解していないことに、発言者の大きな問題がある」という個人攻撃、悪罵のオンパレード。

一見すると根拠を示しているようにも見えるが、発言者の発言要旨と比較すると、発言者の発言趣旨を悪意でゆがめて言いがかりを付けていることも明らかであろう。

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動画では、もっと恐怖感が伝わってくる。グロ注意レベルの内容になるので貼らないが。

「ハラスメント」認識の雑さ

発言者の発言趣旨をねじ曲げて攻撃していること。会議を進行する主催者側と代議員という圧倒的な権力関係のもとで、発言者の再反論の機会が封じられている場で、一方的に乱暴な攻撃を、優位に立つ側がおこなっていること。これこそがパワハラの典型例である。

これをハラスメントではないというのは、どうかしている、人権感覚が疑われるというべきものである。

そもそも、ハラスメントは、「加害者だと指摘された当事者が、ハラスメントではない」と断定するものではない。ハラスメントを判断する基準は、加害者側の主観ではない。第三者から見た客観的状況や、被害者側の受け止めなどの要素である。

この案件は、中央委委員会ぐるみの組織的ハラスメントである。またそれを代表して報告したのは、たむともである。加害者側の当事者が、ハラスメントを指摘されてもこのような強弁をするなど、許されることではない。

たむともは記者会見で、「冷静に指摘したからパワハラではない」「抑制的に、事実を持って批判している」「感情的にならないように抑制的に述べた」と主張した。「冷静に」「抑制的に」というのは当たらないのは、結語の動画を見れば明らかである。

セカンドハラスメントへは対応を

しかも、結語での対応によって、SNS上でも、党員と思われるものからのセカンドハラスメントが可視化されている。リアルでも、発言者やその周辺へのハラスメントだとうかがわせるものがでているような状況になっている。

共産党の対応としても、仮に党の言い分通り「間違った意見への批判」だとしても、だからといってそこは「その場での意見表明」の範囲だということになり、その後の発言者への被害は望んでいないはずであろう。そもそも共産党の規約では「意見が違うことでの組織的排除」は禁じられていると明記されている。

しかし、実際にセカンドハラスメントにつながっているととれるようなことは、共産党が真っ先に発言者を守る対応をすべきではないか。