2024年東京都知事選挙、ふたを開けると現職の小池百合子知事が3回目の当選となった。
そして、もっとも有力な対立候補とみられていた、前立憲民主党参議院議員の蓮舫候補は、急失速して3位に終わった。
当方は、蓮舫候補の主張が自分の考え方に一番近いかなと感じていた。
しかしながら同じ候補者を応援するものの中に、たちの悪いもの、ガラの悪い者がいて、そういう自称支援者が、有権者へのネガティブキャンペーンや、支援者同士の足の引っ張り合いを呼び込んで、候補者の票を減らしにかかったのではないかとも感じている。
ジェンダー・フェミニズムへの曲解
「たちの悪いもの、ガラの悪いもの」のひとつとして、「フェミニスト」を自称しながら、実際は家父長制パターナリズムとマッチョイズムを振りかざして、古い価値観を周囲に押しつけるような連中の存在がある。
小池百合子都政のもとで公金を補助金として不適切支給を受けていたことがばれた、またそのほかにも数々の「ヲタク」差別や表現規制推進などのヘイト行為を繰り返していた、差別主義者の親玉やそれに近い連中が、蓮舫候補に取り憑いた。表向き左派を偽装しての「ネトウヨ」的な振る舞いである。
そしてそういう連中が、選挙結果が出ると「ジェンダー不平等」「ミソジニー」などと騒いでいるとか
なんか、蓮舫氏の敗因として「ジェンダー不平等」とか「ミソジニー」を挙げてる人が散見されるんですが、そういう方々って、小池氏の性別を何だと思ってるんですかね。… https://t.co/Gk76djaBwv pic.twitter.com/FGxLx5HKHg
— 新田 龍 (@nittaryo) 2024年7月9日
これとか。
蓮舫さんの敗因の一つにモノ言う女性に対するミソジニーによって忌避されたことをあげることができない政治コメンテーターは全員退場してもらって大丈夫です
— 勝部元気 Katsube Genki (@KatsubeGenki) 2024年7月8日
ジェンダー差別主義者・男性差別主義者として有名なインフルエンサーの感情的な攻撃という、ある意味平常運転ではある。
この界隈は、気に入らないことがあると、「モノ言う女性に対するミソジニー」という斜め上の行為に矮小化する。
しかし、小池百合子知事も女性であるという一言で、完全に崩れるものである。
政党関係者への侵食
ジェンダー差別主義者が、政党関係者にも侵食しているという悪例も。
この都知事選挙の結果を見て。東京にフェミニズムとジェンダー平等がぜんぜん根付いて無いことが可視化されたでしょ。
— 片岡ちとせ🍉🏳️🌈🏳️⚧️日本共産党葛飾区議会議員 (@c_kataokaJCP) 2024年7月8日
わたしは諦めないよ。 https://t.co/gFx0Jm8QZ3
今回の都知事選の蓮舫さんのたたかいを通じて、リアルに日本社会の根深いジェンダー不平等とともにミソジニーの問題も浮き彫りになった。
— 横山 幸次(共産党荒川区議) (@yokoyama_kouji) 2024年7月9日
ぜひ地方政治の中でも可視化し、克服するとりくみを続けていきたい。 https://t.co/2c1LMf5RbJ
このような、ネトウヨ=ツイフェミと見まがうような差別発言をしているのは誰かと思えば、日本共産党の区議ですか。
日本共産党のジェンダー観の古さ、遅れ度合いを示しているということになってしまっている。
日本共産党は、多くの分野では先進的な政策を示している。こどもと教育、公共交通、地方自治、労働関係、中小自営業者、市民生活などの政策では先見の目を示し、この政党がなくては困るという課題も多い。
ジェンダーでバグる日本共産党
しかしジェンダーに関しての一点だけは、昔からとんでもないバグり方をする事例も目立っている。
1970年代には、不祥事を起こした議員について、元々の問題となった不祥事への批判や反省ではなく、当該者が同性愛者だからというだけで攻撃していると受け取れる内容を公表していた。さすがにそれは2020年党大会で修正されたが、古い価値観はほとんど変わっていない。
80年代の時点で発行された文献でも、青年学生分野での「恋愛」などを論じた箇所で、品性と結びつけて、壷と見まがうような、保守的・封建的な私生活介入などのひどい内容があった。
いずれも古い価値観、およびそれを都合よくすり替えたもので、「男性は女性を守れ」「横暴な行為をした女性に物を言うだけで、女性差別の加害者扱いして貶める」とばかりの、時代錯誤の内容だった。保守封建的な内容を現代的にしたと見せかけて、実際は「現代的」に偽装した保守封建的な内容だったというオチである。
90年代以降はさすがに現代的には改まってきたとはいえども、それでもバックラッシュが生み出された。
某議員をめぐって「某議員がトラブルになったことに乗じて、その議員にかねてから反感を持っていた女性グループが、その人のしたことは女性蔑視だ、自分たちの主張通りにしなければうんぬん」と脅したことも一因となって、当初の処分内容を変更させたと指摘された排除騒ぎ。
女性議員のパワハラが問題になり、当該者が「自分はセクハラ被害者で、自分に同調しないものは加害者の同調者・セカンドハラスメント」呼ばわりで非をごまかして、同僚議員を排除した騒ぎ。
某市民団体で女性役員が起こしたトラブルを、加害者の女性役員が「自分も相手も党員だから党の組織問題」「自分が女性で対立相手が男性だから、相手が女性差別をしたということにする」という2つの要素を振りかざして脅して正当化した騒ぎ。
これらの背景には、この手の「女性というだけでちやほやしろ、男性は女性を守れ」的な古いジェンダー観を振りかざした者がいたとも指摘されている。
2020年代以降、そのジェンダーバックラッシュが顕在化している。
2021年総選挙をめぐって、日本共産党が前述の差別主義者に取り憑かれたことが鮮明になった。
差別主義者の似非「フェミニスト」が共産党の「応援」と称して取り憑き、票を減らす効果をもたらした。そして差別主義者が特に推していた候補者を落選させると、「共産党は男尊女卑」などといわれのない攻撃を仕掛けた。
そしてそれは、2021年総選挙政策にも現れた。表現問題をめぐっては、文化分野では「表現の自由を守る」とした一方で、同じ文章の中でジェンダー分野では「表現規制」ととれるものがあり、強い批判を浴びた。
kamiyakenkyujo.hatenablog.comさすがにこれは直後から問題になり、一部修正したが、それでも市民からの不安を払拭するに至らなかった。
それ以降も、似非「フェミニスト」が共産党に取り憑く状況は、変わってはいない。
誰かと似ている
この手の日本共産党内に取り憑いた自称「フェミニスト」の振る舞いは、誰かに似ている。
2017年、絶望の党希望の党を結党して、「排除します」という迷言一発で急失速に追い込んだ人がいた。
そしてその直後の総選挙では、当初の下馬評を大きく下回る議席になった。それを問われると、ガラスの天井ならぬ「鉄の天井」とした人が、過去にいた。
「フェミニスト」を偽装した古い価値観の人たちの振るまいが、そのことと重なる。
小池知事当選は「ミソジニー」とはいえない
そして2024年東京都知事選挙では小池知事当選という、蓮舫支持者には残念なことにはなってしまった。
しかし一部の噴き上がった蓮舫支持者が言うような「ジェンダー不平等」「ミソジニー」ではない。むしろ、そういうことを言う連中が、中から足を引っぱり、有権者に嫌悪感を抱かせて「引かせて」いるとしか思えない。